Monday, August 27, 2007

炭素工具鋼鋼材(SK105(SK3)、SK95(SK4)、SK85(SK5) など) www.tool-tool.com

Bewise Inc. www.tool-tool.com Reference source from the internet.
1.適用範囲

この規格は、熱間圧延又は鍛造によって造られた炭素工具鋼鋼材(以下、鋼材という。)について規定する。

備考: この規格の対応国際規格を、次に示す。なお、対応の程度を表す記号は、ISO/ITEC Guide21 に基づき、IDT(一致している)、MOD(修正している)、NEQ(同等でない)とする。

ISO 4957:1999, Tool steels (MOD)



2.引用規格

次に掲げる規格は、この規格に引用されることによって、この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格は、その最新版(追補を含む。)を適用する。
  • JIS G 0320 鋼材の溶鋼分析方法
  • JIS G 0404 鋼材の一般受渡し条件
  • JIS G 0415 鋼及び鋼製品 - 検査文書
  • JIS G 0553 鋼のマクロ組織試験方法
  • JIS G 0555 鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法
  • JIS G 0556 鋼の地きずの肉眼試験方法
  • JIS G 0558 鋼の脱炭層深さ測定方法
  • JIS G 0565 鉄鋼材料の磁粉探傷試験方法及び磁粉模様の分類
  • JIS G 3191 熱間圧延棒鋼とバーインコイルの形状、寸法及び質量並びにその許容差
  • JIS G 3193 熱間圧延鋼板及び鋼帯の形状、寸法、質量及びその許容差
  • JIS G 3194 熱間圧延平鋼の形状、寸法、質量及びその許容差
  • JIS Z 2243 ブリネル硬さ試験 - 試験方法
  • JIS Z 2244 ビッカース硬さ試験 - 試験方法
  • JIS Z 2245 ロックウェル硬さ張試験 - 試験方法
  • JIS Z 2344 金属材料のパルス反射法による超音波探傷試験方法通則

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3.種類及び記号

炭素工具鋼鋼材の種類は 11種類とし、その記号は 表1 による。


4.製造方法

炭素工具鋼鋼材の製造方法は、次による。
  1. 炭素工具鋼鋼材は、キルド鋼から製造する。
  2. 炭素工具鋼鋼材は、特に指定のない限り鍛錬成形比 4S以上に圧延又は鍛造する。但し、鋼材寸法の関係から 4S未満となる場合は、据込み鍛錬によって補うことができる。
  3. 炭素工具鋼鋼材は、通常、焼なましを行う。ただし、鋼板及び鋼帯は、特に指定のない限り圧延のままとしてもよい。
参考: 鍛錬成形比の表し方は、JIS G 0701(鋼材鍛錬作業の鍛錬成形比の表し方) による。


5.化学成分

炭素工具鋼鋼材は、10.1 の試験を行い、その溶鋼分析値は、表1 による。

表1 炭素工具鋼鋼材の種類の記号及び化学成分 (単位 : %)
種類の記号 化学成分(1 用途例(参考)
C Si Mn P S
SK140
(SK1)
1.30~1.50 0.10~0.35 0.10~0.50 0.030以下 0.030以下 刃やすり、紙やすり
SK120
(SK2)
1.15~1.25 0.10~0.35 0.10~0.50 0.030以下 0.030以下 ドリル、小形ポンチ、かみそり、
鉄工やすり、刃物、ハクソー、ぜんまい
SK105
(SK3)
1.00~1.10 0.10~0.35 0.10~0.50 0.030以下 0.030以下 ハクソー、たがね、ゲージ、ぜんまい、
プレス型、冶工具、刃物
SK95
(SK4)
0.90~1.00 0.10~0.35 0.10~0.50 0.030以下 0.030以下 木工用きり、おの、たがね、ぜんまい、
ペン先、チゼル、スリッターナイフ、
プレス型、ゲージ、メリヤス針
SK90 0.85~0.95 0.10~0.35 0.10~0.50 0.030以下 0.030以下 プレス型、ぜんまい、ゲージ、針
SK85
(SK5)
0.80~0.90 0.10~0.35 0.10~0.50 0.030以下 0.030以下 刻印、プレス型、ぜんまい、帯のこ、
冶工具、刃物、丸のこ、ゲージ、針
SK80 0.75~0.85 0.10~0.35 0.10~0.50 0.030以下 0.030以下 刻印、プレス型、ぜんまい
SK75
(SK6)
0.70~0.80 0.10~0.35 0.10~0.50 0.030以下 0.030以下 刻印、スナップ、丸のこ、ぜんまい、
プレス型
SK70 0.65~0.75 0.10~0.35 0.10~0.50 0.030以下 0.030以下 刻印、スナップ、ぜんまい、プレス型
SK65
(SK7)
0.60~0.70 0.10~0.35 0.10~0.50 0.030以下 0.030以下 刻印、スナップ、プレス型、ナイフ
SK60 0.55~0.65 0.10~0.35 0.10~0.50 0.030以下 0.030以下 刻印、スナップ、プレス型
注(1) 各種類とも不純物として Cu は0.25%を、Cr は0.30%を、Ni は0.25%を超えてはならない。
備考: 括弧書きの (SKX) は、旧JIS の種類の記号を示す。
なお、JISの種類の記号と対応する ISO の記号を 附属書2 に示す。

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6.焼なまし硬さ

炭素工具鋼鋼材の焼なまし硬さは、10.2 の試験を行い、表2 による。ただし、ブリネル硬さの測定が困難な炭素工具鋼鋼材については、ロックウェルB硬さ又はビッカース硬さによることができる。この場合、硬さの値は、受渡当事者間の協定による。

表2 炭素工具鋼鋼材の焼なまし硬さ
種類の記号 焼なまし温度
焼なまし硬さ
HBW
SK140
SK120
SK105
SK95
SK90
SK85
SK80
SK75
SK70
SK65
SK60
750~780 徐冷
750~780 徐冷
750~780 徐冷
740~760 徐冷
740~760 徐冷
730~760 徐冷
730~760 徐冷
730~760 徐冷
730~760 徐冷
730~760 徐冷
730~760 徐冷
217以下
217以下
212以下
207以下
207以下
207以下
192以下
192以下
183以下
183以下
183以下
備考: 熱間圧延鋼板及び鋼帯の圧延のままの硬さ又は焼なましの硬さは、受渡当事者間の協定による。


7.焼入焼戻し硬さ

10.2 によって採取した焼入焼戻し硬さ試験片に、表3 に示す温度で焼入れ焼戻しを行った場合の焼入焼戻し硬さは、表3 による。ただし、試験片の熱処理温度の許容範囲は、焼入れ処理、焼戻し処理とも 表3 の温度±10℃とする。
なお、各種類ごとの標準熱処理温度域を、参考として 附属書1 に示す。


表3 試験片の焼入焼戻し硬さ
種類の記号 熱処理温度 ℃ 焼入焼戻し硬さ
HRC
焼入れ 焼戻し
SK140
SK120
SK105
SK95
SK90
SK85
SK80
SK75
SK70
SK65
SK60
780 水冷
780 水冷
780 水冷
780 水冷
780 水冷
780 水冷
790 水冷
790 水冷
800 水冷
800 水冷
810 水冷
180 空冷
180 空冷
180 空冷
180 空冷
180 空冷
180 空冷
180 空冷
180 空冷
180 空冷
180 空冷
180 空冷
63以上
62以上
61以上
61以上
60以上
59以上
58以上
57以上
57以上
56以上
55以上


8.外観、形状、寸法及びその許容差

8.1 熱間圧延丸鋼
8.1.1 外観
熱間圧延丸鋼の外観は、仕上げ良好で、使用上有害なきずがあってはならない。

8.1.2 標準寸法
熱間圧延丸鋼の標準径は、表4 による。
表4 標準径 (単位 : mm)
10、 11、 12、 13、 14、 15、 16、 17、 18、 19、 20、 21、 22、 23、 24、 25、
26、 27、 28、 29、 30、 32、 34、 36、 38、 40、 42、 44、 46、 48、 50、 55、
60、 65、 70、 75、 80、 85、 90、 95、 100、 110、 120、 130、 140、 150
備考: 表4 は、断面形状が円形の線材及びバーインコイルにも適用できる。

8.1.3 寸法の許容差
熱間圧延丸鋼の寸法の径の許容差は、表5 による。
表5 径の許容差 (単位:mm)
径の許容差 偏径差(2
10以上 16未満 +0.6
-0.3
径の許容差範囲
の70%以下
16以上 30未満 +0.7
-0.3
30以上 150以下 +2.5%
-1.0%
注(2) 偏径差とは、丸鋼の同一断面における径の最大値と最小値との差をいう。
備考1.径が10mm未満及び150mmを超える丸鋼の許容差は、受渡当事者間の協定による。
備考2.表5は、断面形状が円形の線材及びバーインコイルにも適用できる。

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8.2 熱間圧延鋼板及び鋼帯
8.2.1 外観
熱間圧延鋼板及び鋼帯の外観は、JIS G 3193 の 7.(外観) による。

8.2.2 標準寸法
熱間圧延鋼板及び鋼帯の標準寸法は、次による。
  1. 熱間圧延鋼板及び鋼帯の標準厚さは、JIS G 3193 の 4.(標準寸法) の a) による。
  2. 熱間圧延鋼板及び鋼帯の標準幅及び長さは、JIS G 3193 の 4. の b) 及び c) による。

8.2.3 形状・寸法の許容差
熱間圧延鋼板及び鋼帯の形状・寸法の許容差は、次による。
  1. 熱間圧延鋼板及び鋼帯の形状・寸法の許容差は、JIS G 3193 の 5.(形状及び寸法の許容差) による。この場合、厚さの許容差の適用は、厚さ160mm未満とし、厚さ160mm以上の場合は受渡当事者間の協定による。
  2. 熱間圧延鋼板の平たん度の最大値は、厚さ160mm未満の鋼板については、表6 による。厚さ160mm以上の鋼板の場合は、受渡当事者間の協定による。
表6 熱間圧延鋼板の平たん度の最大値 (単位 : mm)
厚さ
1250未満 1250以上
1600未満
1600以上
2000未満
2000以上
2500未満
2500以上
3000未満
3000以上
1.60未満
1.60以上 4.00未満
4.00以上 6.30未満
6.30以上 10.0未満
10.0以上 25.0未満
25.0以上 63.0未満
63.0以上 160未満
27
24
21
18
15
12
12
30
27
24
21
18
15
12
-
30
27
24
21
18
15
-
-
33
30
24
21
18
-
-
38
36
27
24
21
-
-
42
39
30
27
24
備考1.ストレッチャレベラ矯正を行って供給される鋼板には適用しない。
備考2.表6 は、任意の長さ4000mmについて適用し、長さ4000mm未満の場合には、全長について適用する。
備考3.平たん度の値は、定盤上に鋼板を置き、定盤面から鋼板の上側の面までの距離を測定することによって鋼板のひずみを求め、ひずみの最大値から鋼板の製品厚さを引いたものとする。
備考4.圧延のままの鋼帯(耳付鋼板)には適用しない。
備考5.平たん度の測定は、通常は定盤の上で行う。


8.3 熱間圧延丸鋼、鋼板及び鋼帯以外の炭素工具鋼鋼材の外観・寸法許容差
熱間圧延丸鋼、鋼板及び鋼帯以外の炭素工具鋼鋼材の外観・寸法及び寸法許容差は、受渡当事者間の協定による。


9.脱炭層深さ

炭素工具鋼鋼材の脱炭層深さの測定は 10.3 によって行い、熱間圧延丸鋼の脱炭層深さの許容限度は、表7 による。丸鋼以外の炭素工具鋼鋼材の脱炭層深さの許容限度は、受渡当事者間の協定による。

表7 熱間圧延丸鋼の脱炭層深さの許容限度 (単位:mm)
許容限度
15未満
15以上 25未満
25以上 50未満
50以上 75未満
75以上 100未満
100以上 130未満
130以上 150以下
0.30
0.50
0.80
1.10
1.40
1.80
2.00
備考1.径が150mmを超える丸鋼の脱炭層深さの許容限度は、受渡当事者間の協定による。
備考2.表7は、断面形状が円形の線材及びバーインコイルにも適用できる。

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10.試験

10.1 分析試験
10.1.1 分析試験の一般事項及び分析試料の採り方
化学成分は、溶鋼分析によって求め、分析試験の一般事項及び分析試料の採り方は、JIS G 0404 の 8.(化学成分) による。
10.1.2 分析方法
分析方法は、JIS G 0320 による。

10.2 硬さ試験
硬さ試験は、次による。
10.2.1
焼なましを行った炭素工具鋼鋼材の硬さの測定は、炭素工具鋼鋼材の任意の箇所とする。
10.2.2
焼入焼戻し硬さ試験の供試材の数は、同一溶鋼及び同一熱処理条件ごとに1個とする。
10.2.3
焼入焼戻し硬さ試験片は、10.2.2 によって採取して供試材を約15mm角又は丸、長さ約20mmに機械加工する。厚さ又は径が15mm以下のときの試験片は、それぞれの厚さ×約15mm×約20mm又は、径×約20mmの寸法とする。
また、この寸法の試験片の採取が困難な場合には、受渡当事者間の協定による。
なお、焼なましを施さない炭素工具鋼鋼材から供試材を採取する場合には、その焼入焼戻し硬さ試験に 表2 の焼なましを行った後、表3 の焼入焼戻しを行う。
10.2.4
試験方法は、次のいずれかによる。
JIS Z 2243、 JIS Z 2244、 JIS Z 2245

10.3 脱炭層深さの測定
脱炭層深さの測定方法は、JIS G 0558 の 4.1(顕微鏡による測定方法) に従い、測定は、全脱炭層深さ(DM-T) による。


11.検査
11.1 検査
炭素工具鋼鋼材の検査は、次による。
  1. 検査の一般事項は、JIS G 0404 による。
  2. 化学成分は、5.に適合しなければならない。
  3. 焼なまし硬さは、6.に適合しなければならない。
  4. 焼入焼戻し硬さは、7.に適合しなければならない。
  5. 外観、形状、寸法及びその許容差は、8.に適合しなければならない。
  6. 脱炭層深さは、9.に適合しなければならない。

11.2 その他の検査
11.1 に規定する検査のほかに、受渡当事者間の協定によって、次の検査を指定してもよい。
【 マクロ組織検査、非金属介在物検査、地きず検査、磁粉探傷検査、超音波探傷検査、顕微鏡組織検査 】
顕微鏡組織検査を除く検査のための試験方法は、それぞれ次による。
  • マクロ組織検査 JIS G 0553
  • 非金属介在物検査 JIS G 0555
  • 地きず検査 JIS G 0556
  • 磁粉探傷検査 JIS G 0565
  • 超音波探傷検査 JIS Z 2344
顕微鏡組織検査の試験方法は、受渡当事者間の協定による。
なお、供試材及び試験片の採取位置、合否判定基準などについては、あらかじめ受渡当事者間で協定しなければならない。


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12.表示

炭 素工具鋼鋼材の表示は、炭素工具鋼鋼材ごとに、次に項目を適切な方法で表示しなければならない。ただし、鋼板、鋼帯、 平鋼及び径又は対辺距離が30mm未満の棒鋼及び線材は、これを結束して、1束ごとに適切な方法で表示してもよい。また、注文者の承認を得た場合には、次 の一部を省略してもよい。
  1. 種類の記号
  2. 溶鋼番号又はその製造(検査)番号
  3. 寸法(3
  4. 数量又は質量
  5. 製造業者名又はその略号
注(3) 寸法の表し方は、JIS G 3191、 JIS G 3193 及び JIS G 3194 による。


13.報告

JIS G 0404 の 13.(報告) による。ただし、注文時に特に指定がない場合は、検査文書の種類は JIS G 0415 の 表1(検査文書の総括表) の 記号 2.3(受渡試験報告書) 又は 3.1.B(検査証明書 3.1.B) とする。
なお、11.2 についての報告は、受渡当事者間の協定による。



【附属書1(参考) 標準熱処理温度】

この附属書は、本体に関連する事柄を補足するもので、規定の一部ではない。
1.適用範囲
本体の 表1 に示す用途例を熱処理する際に、製品の用途及び寸法に応じて選択する標準的な熱処理温度範囲を 附属書1表1 に示す。ただし、必ずしもすべての条件において、本体の 表3 に規定する焼入焼戻し硬さを満足するものではない。
附属書1表1 標準熱処理温度
種類の記号 標準熱処理温度 ℃
焼入れ 焼戻し
SK140
SK120
SK105
SK95
SK90
SK85
SK80
SK75
SK70
SK65
SK60
750~810 水冷
750~810 水冷
750~810 水冷
750~810 水冷
750~810 水冷
750~810 水冷
760~820 水冷
760~820 水冷
770~830 水冷
770~830 水冷
780~840 水冷
150~200 空冷
150~200 空冷
150~200 空冷
150~200 空冷
150~200 空冷
150~200 空冷
150~200 空冷
150~200 空冷
150~200 空冷
150~200 空冷
150~200 空冷


【附属書2(参考) JISと国際規格の種類の記号の対応】

この附属書は、本体に関連する事柄を補足するもので、規定の一部ではない。
1.JISと国際規格の種類の記号の対応
JISの種類の記号と化学成分が同等又は類似の国際規格(ISO 4957:1999) の種類の記号を 附属書2表1 に対比して示す。
附属書2表1 JISと国際規格の種類の記号の対応
種類の記号
JIS ISO
SK140
SK120
SK105
SK95
SK90
SK85
SK80
SK75
SK70
SK65
SK60
-
C120U
C105U
-
C90U
-
C80U
-
C70U
-
-


【附属書3(参考) JISと対応する国際規格との対比表】 (表は割愛)







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